ファミリーのような一体感。
たっぷり楽しんだあとに思い切り泣かせくれたライブ。


ライブレポート by 中川五郎
2012/6/15 Hightline Ballroom, NYC

今年の6月、ちょうどぼくがニューヨークにいたとき、何とも幸運なことにチェルシーのハイライン・ボールルームでリサとジョーのデュオライブがあったので、二人の大ファンのぼくは大喜びで出かけて行った。
ライブはリサとジョーの二人だけではなく、イングランド出身の新鋭シンガー・ソングライター、ギタリストとして大活躍しているジョン・スミス、ドラマーのロス・ターナーの4人で行なわれた。
リサとジョーの持ち歌が交互に歌われて行くのだが、どちらの歌のときもほとんど4人全員が参加する。それもちょっと加わるというのではなく、ひとつの歌を完全に分かち合っている。バンドというよりも、どこかファミリーのような一体感があり、その自然さや和みぶりが、とても微笑ましく、あたたかくほっこりとした気持ちにさせられる。リサはギターやマンドリン、ウクレレやバンジョー、はたまた中世の手回しオルガンのハーディ・ガーディまで、さまざまな楽器を弾きこなし、それで自分の歌を歌ったり、ジョーの歌に加わったりする。ジョーはマイ・ペースで自分の歌を歌うのだが、リサが加わることで、その歌に新たな光が加わる。ジョンもお得意のギターをたっぷり聞かせてくれ、ロスも実に表情豊かな「歌う」ドラムスを披露してくれた。
 二時間近くの和気藹々のライブは、夢中になって見ていると、あっという間に終わってしまい、アンコールは四人全員がステージのいちばん前に出て来て、亡くなったばかりのリヴォン・ヘルムに捧げる “The Night They Drove Old Dixie Down” を、ジョンのギターだけでマイクを使わず見事なハーモニーで歌った。
たっぷり楽しんだ後に思いきり泣かせてくれたライブだった。